Snow Princess ~雪の華~
――まだいつもの優しい瞳…
これが、石の力で濁ってしまうと考えるといたたまれない。
カマをかけるつもりで尋ねた。
「マリンのことは此れからどうするつもり?」
すると明らかにシャーマの顔から笑顔が消え、目付きのきつい表情が現れる。
「なんとも言えん。だが、脱走しようとしたらしいな」
「え、ええ…」
「かようなことが続くようならば、また違うことを考えなければならないだろうな」
シャーマは椅子から立ち上がり、窓の外に目を向ける。
そしてそのまま言葉を続けた。
「一番の問題は隣国だ。
マリンを貰ってくれると言っていた穏健派の王子が病に倒れ、マリンを受け入れるどころの話ではないらしい。
さらに、彼の兄弟は我が国をよく思っていない」