Snow Princess ~雪の華~

リリーは背後からの慌ただしい足音に振り返った。


足音の正体は、リリアだった。
リリアにしては珍しく、乱れた字のメモを振りかざしリリーにすがりついた。


(リリー様! マリン様が大変なんです!)

「なんですって?」


リリーは眉をひそめ、軽く手を振った。
光の粒が指先から現れ、リリアの顔を包んだ。


「言いたいことを念じるだけでいいわ。それで私に聞こえるから」


リリアは自室で起こったことを話した。

そして、ここに来るまでの間に多くの使用人や同僚から、マリンの影が悪さをしているところを見たと聞いたことも話した。


「何でそんなことを…!」


リリアは唇を噛んでリリーを見つめる。


(実はマリン様が私をすり抜けて行った時にマリン様の記憶が私に入って来たんです)

「?!」


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