Snow Princess ~雪の華~

それは、随分と悲しい記憶だった。


ベリルの屋敷でナナイにいらないと言われたことに始まり

嫁に出すと言われたこと

何の知らせもなく山に送られたこと

働こうとしたら何も上手くいかなかったこと

村でどんな仕事も出来ずに終わったこと


偶然、使用人が自分の悪口を話しているのを聞いたこと


ベリル処刑を発表した時の民衆の野次


その全てが『いらない』ひとつの言葉に宿りマリンを襲った。


そして、彼女は完全に壊れてしまったのだ。


話し終えるとリリアは悲しくうつむく。


(私たちにすればなんともないかもしれませんが、マリン様にはっ…)


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