Snow Princess ~雪の華~
6
マリンのことについては、使用人の間でも大きな噂話として広がったので、すぐさまシャーマの耳にも入った。
彼は鏡の元へと向かった。
書斎の戸を開けば、正面にある鏡にシャーマの顔が映る。
すると鏡はすぐさま青年の姿になり、にやりと笑った。
「よう、大変そうだな」
「わかっているのならば早くあの娘を写せ!」
「断る、といったら?」
「何だと?」
シャーマの目がきつく吊り上る。
「てめーみたいなお上の命令に従うしか能のないヤツの頼みは聞きたくないっての」
その言葉に、男の目が大きく見開かれる。
「─! 貴様、私が何者かわかっているのか?」
「ああ。できたらさっさとそいつの中から出て行ってくれるといいね」
「そういうわけにはいかない。国を守るのが私の、そしてこの器の役目だ」