Snow Princess ~雪の華~
訓練所の前に着いたとき、マリンの息はすっかり上がっていた。

「ハァ…ハァ……」

庭園といっても城のそれの大きさは並のものではない。

最短距離を突っ走ってきたが、普段たいした運動をしないマリンにとってはずいぶんと辛いものがあった。


「姫様?!」


マリンが顔を上げると昔よりはずいぶんと白髪が増えたたくましい男が馬の上からマリンを見おろしていた。
マリンはスカートをちょっと持ち上げ、丁寧にお辞儀をして上目遣いに彼を見上げた。


「あら、お久しぶりです。ご機嫌はいかがかしらドリーシュ卿?」


ドリーシュは豪快に笑った。


「まことに。久しいですな、姫様。さあさ、堅苦しい挨拶などやめにして昔のようにこの爺の馬にお乗りください」


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