Snow Princess ~雪の華~

「よろしいですか? 姫様?」

「ええ…いや、ううん。いいよ? シーモア」


マリンはシーモアに擦り寄って言った。
シーモアの目は驚きに見開かれたが、マリンはお構いなしに猫のようにすがりつく。


「ひ、姫様…?」

「いいでしょ?ね?少しだけだから」

「……」


シーモアは途方にくれてキーファを追い出したことを後悔した。


見下ろせば、いつも尊大な態度をとるマリンがこんなに小さくなって自分の腕に絡みつく。
やわらかい髪の毛と甘い香水の匂いが混ざり、シーモアの思考を鈍らせる。


まっさらな白い肌が高級なドレスを通して自分に触れている。



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