Snow Princess ~雪の華~


シーモアは急激に自分の温度が上がっていくのを感じた。


「ひ、姫様」

「や。昔みたいに名前で言ってよ」

「マリン様…」


何?と聞き返す上目遣いに見上げるマリン。

その美しさ、いや愛らしさたるや常人ではない。
だからこそ、王族なのだろうか?

そんなことがシーモアの脳裏を闊歩する。

名前を呼ぶことで、親密な気分に陥り、シーモアはさらに堕ちていく。


「どうして…」

「ん?」

「どうして、街に出たいなどと…?」


< 64 / 432 >

この作品をシェア

pagetop