Snow Princess ~雪の華~
マリンは悲しそうにうつむいた。
シーモアは聞いてはいけないことだったかと後悔した。
だが実際は、それは全てマリンの演技。
そうとも知らずシーモアは優しく手を置く。
マリンの口角が緩やかに上がる。
「私…」
今にも消え入りそうな声でマリンは語りだした。
「もう16にもなったの。もうすぐ、今度のお誕生日に私は社交に出れるようになるわ。
でも、でもね! 私は何にも知らないの。今の流行や貴族の関心事も、何にも」
「それは、これから知って行けば」
「ダメよ!」
マリンが勢いよく体を起こしたので、シーモアは飛び上がった。
「私は、この国の王女なの! そんな私が、他の人たちに舐められたら? 常に王は強く皆の先導でなければいけないわ。それは、私たちでも一緒なの!」