Snow Princess ~雪の華~


ただ、相手はキーファではなく理解のあるシーモア。

彼はすぐにこの建前という答えにたどり着いた。

そして、マリンの涙、心の痛みに押され───ついに彼は、折れた。





「ったくよ、俺だけきれいに締め出しやがって。どうせろくな話してねーんだろうからどうでもいいがな」


ようやく部屋に入れてもらえたキーファは踏ん反りかえって座り、二人を観察した。

若干げんなりとしたシーモア。それと対照的にこの上ないほどの笑顔のマリン。


これまでの経験から言っていい予感が少しもせず、お人よし過ぎる相棒と、それを見捨てることの出来ない自分を思って、キーファは誰にも聞こえない自嘲のため息をもらした。


幼い頃からマリンの相手役として厄介なことに付き合わされてきたというのに――。



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