Snow Princess ~雪の華~


「おいしいお茶ですこと。本当に淹れるのが上手いわ。確かにあの子が気に入るはずね」

「そんな……褒めすぎです、王妃さま」

「リリーでいいわ。その肩書きは、私のためのものではないもの」


リリアは緊張していた。
この人物をよく理解できていないからだ。


この不安定な情勢の中で後妻として嫁いできたリリー。

どこの者ともしれない、突如王が連れてきた女性で、彼女の登場で何人の貴族がハンカチをくわえたことか。

それなのに、あまりにも謙虚で表に出てくることはめったにない。

後妻といえば傲慢で意地悪なのが御伽噺の恒例なのに。



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