さくら木一本道
(ユウキ)「いや~ん、さくらちゃんだ~」
現れたさくらにユウキは、目を輝かせて迷うことなく飛び付く、もちろん体勢はあすなろ抱きだ。
(さくら)「ナァァ‼ やめろ‼ 飛び付くな‼ そして乳乗を乗せるな‼」
抵抗するさくらをものともせず、ユウキはさくらの頭にほほずりする。
その様子は必死で気狂いそのものだった。
(ユウキ)「ふにゃにゃあ…さくらちゃんだぁ、うへへへ…」
(勇次)「……き…キモい」
その形相の変化に、勇次がドン引きしているその時だった。
いきなりユウキの動きがピタッと止まって、なにするのかと思えば、いきなりさくらの髪の匂いを嗅ぎ始め、続けざまに勇次の匂いも嗅ぎだす。
すると、またピタッと動きが止まり、信じられないことを言い出した。
(ユウキ)「さくらちゃん、勇次君と同じシャンプーの匂いがする、白のツ○キだね」
おお…さすがネコ、まさに動物的嗅覚…
などと感心している場合ではない‼
こいつとんでもねぇところに気づきやがった‼
勇次はあたふたと言い訳を考えるが、思い浮かばずただキョドるだけだった。
(勇次)「いや…あの…そそその…」
その様子を見て、さくらは堂々とした態度で勇次を指差し、公言した。
(さくら)「当たり前じゃない、私こいつん家に世話になってるんだから」
さくらの潔い発言に、勇次はその場の空気が止まった気がして、掃除機か何かに急に吸いとられたんじゃないかと思うくらい精根尽き果てる。
そして隣で小刻みに震えるユウキは、さくらに聞くのだった。
(ユウキ)「……にゃんと…つまり二人は同棲していると?」
(さくら)「やらしい言い方しないでくれる? 同棲じゃなくてただ-…
(ユウキ)「聞キズテニャニャニャイ‼‼」
ユウキがついにただのネコになった。