さくら木一本道
そうだ…
不安じゃないわけがない、
そんなわけ無いじゃないか、
アイツは…
さくらはきっと、ずっと耐えて、
誰にも分からない様に悲しい笑顔を見せてたんだ…
それをわかってたのに、
アイツの笑顔見て胸が痛んだのに、
俺は、
アイツの気持ちを考えず、ただバカみたいに怒鳴って…
勇次は眉を細め、首に掛けていたタオルを強く握り、静かに自分の部屋に入った。
部屋は電気が消えていて、月明かりが部屋を照らす。
窓は換気のために開けていたので、勇次の頬に春の冷たい風が吹く、
窓を閉めるとガラスに自分の顔が映った。
(勇次)「……」
勇次は自分を見るのが嫌で、カーテンを閉めて布団に入った。
しかし、外の春の風は鳴り止まず、勇次の長い夜が始まった。
「桜木一本道」
終わり。