さくら木一本道

(さくら)「夢であってほしかった、昨日のことは夢であって… 本当は別世界になんか来ていなくて… ここに私の家が建っていてほしかった」



(勇次)「……」



(さくら)「あはは…でもま、所詮は希望ね。家じゃなくて雑草が建ってるわ、むしろ夢から覚める結果になったわね」



さくらは勇次に微笑みを見せる。

勇次は、その笑顔を見た瞬間に胸が痛んだ、この痛みはずっと昔に味わったことがあるはずなのに思い出せない。



(勇次)「……」



(さくら)「さ、帰りましょ…」



(勇次)「ま、待て、さくら!!」



勇次は歩き出したさくらの腕をとっさにを掴んだ。



(さくら)「な、なに!?」





痛い……何でだ…

何でコイツの笑顔を見ると、こんなにも胸が痛むんだ…

何でお前はそんな笑顔を俺にみせるんだ…?



「私一人で帰る方法をみつける」?



「アンタん家には迷惑はかけない」?



ふざけんな…っ

どうやって見つけるんだ?

そんなあり得ねぇ事をどうやって見つけ出すんだ?

それに、テメェは俺ん家で居候してるんだぞ!?



もうテメェは俺ん家に…



俺に…



メチャクチャ迷惑かけてんだよこの「アホゴリラ」!!








……だったらテメェは…








(さくら)「ちょっと、さっさと離してよ」









……もっと俺に…







(さくら)「ゆう…


(勇次)「頼れやぁぁぁぁ!!!」


(さくら)「!!?」



(勇次)「テメェちょっと来い!!」



勇次はさくらの腕を無理やり引っ張り、とある場所へ向かうために歩き出した。



(さくら)「ちょっ… 勇次!!」



(勇次)「つれて行きたい所があるって言っただろ」



勇次は思う、



昨日と今日で大体分かった。

コイツはチビのくせに…


「とんだ怪力女」で

「とんだ暴力女」で

「とんだ自分勝手」で


なのに悩みは独りで抱えて、テメェだけで解決出来ない問題をテメェだけで解決しようとする。



馬鹿だよな俺も…こんなヤツのために…



でも俺は…



それでも俺は…


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