さくら木一本道
龍巳は勇次から離れ、教室の角で輪を作っている男子の集団に向かった。
(龍巳)「なぁなぁ勇次って、どういうAV(アダルトビデオ)が好きか知っ…」
(勇次)「ちょ待てぇぇぇぇ!!!!」
親友だからこそ、変な弱みを握られてる事もある。
そして取り返しのつかない行動をすることもある、なぜならバカだから、
(クラスメート)「おいおい勇次ぃ~ なんだよ、何系が好きなんだよオイ!!(笑)」
(クラスメート)「ロリ? 熟女? 女子高生? フゥー!!」
男子集団は、変な歌を歌って踊り出すありさま…
……最悪だ…
女子の敵意を向けた目線が、勇次の背中にヒシヒシと伝わってくる。
(勇次)「分かった分かった!! 今日家に来ていいから!! もう勘弁してくれぇぇ!!」
……本当に最悪だ…
5時限目の授業も終わり、勇次と龍巳は帰宅の準備をする。
(多恵箕)「は~い、ホームルーム始めるわよ~」
勇次のクラスの担任「山 多恵箕(やま たえみ)」が教室に入ってきた。
「どうよ? この髪」と言わんばかりに、昨日パーマをかけた髪の毛をなびかせ、顔をニンマリさせながら教卓に立つ、
(多恵箕)「みなさ~ん?先生昨日ね~…」
(クラスメート)「先生!! 明日の連絡と持ち物は何ですか?」
多恵箕の話を折るように、生徒の一人が喋り出した。
(多恵箕)「え? えっとですね… 明日は専攻の授業があるので、各自授業道具を忘れないように… で、それでね? 先生昨日ね~…」
(クラスメート)「起立!! 礼!!」
(生徒一同)「さようならー!!」
(クラスメート)「さ、帰ろ帰ろ」
(多恵箕)「え? え!? えぇー!! あ~ん!! みんなのイジワル~!! 少し位は先生の自慢話を聞いてくれてもいいじゃないのよ~!!」
多恵箕先生は教師とは思えない性格がいじられキャラを作ってしまい、ホームルームにいたってはいつもこの調子だ。
(勇次)「なんつーか… 切ねぇな…」
(龍巳)「勇次、帰ろうぜ」
(勇次)「おう」
勇次は荷物をまとめ、龍巳と教室を出ようとしたその時―
(多恵箕)「勇次君!!!!」
(勇次)「オェッ!!!」