さくら木一本道

(勇次)「クソォ~… アイツの携帯が使えればな~…」



実は昨日の夜、さくらと勇次はさくらの携帯電話が勇次の世界で使えるか試していた。

さくらは勇次の携帯に電話をかけてみたのだか繋がらなかった。

つまり、さくらの携帯はここの世界で使えないと言うことになる。



(勇次)「最悪だ…」



「はぁ…」と、ため息とともにまた頭を抱える勇次だったが、またなにかを思い浮かんだように頭から手を離した。



(勇次)「まてよ…?」



‐ガチャ… バタンッ!!‐



そこへ、リュックを背負った龍巳が現れた。



(龍巳)「待たせたな勇次、行こうぜ」



(勇次)「あ、あぁ…」

(そうだよ、何焦ってんだよ、今さくらは図書館に行ってんじゃねぇか、昨日だって帰りは夜の7時位になったし、今日も遅くなるに決まってるじゃねぇか!!)



心が軽くなった勇次は、龍巳と共に勇次の家に向かって歩き出した。

しばらくして道路を左に曲がり、細い道路に入る、もう50m先には勇次の家がある。



(龍巳)「俺パ〇プロ持ってきたぜ、やるだろ?」



(勇次)「野球ゲームはお前の得意分野だろ? 卑怯臭くね? 勝てるわけねぇだろ、てかお前、今日はマンガを読み明かすんじゃなかったのか?」

(大丈夫…大丈夫…)




(龍巳)「予定なんてもんは未定だ」



(勇次)「なんじゃそりゃ!?」

(大丈夫…大丈夫…)




(龍巳)「お、着いたぜ勇次ん家!!」



(勇次)「今鍵開けるから待ってくれ」

(大丈夫…大丈夫…)




‐カチャッ ガチャ…‐

(大丈夫… 大丈…)



(さくら)「あえ?勇次? 誰かと思っちゃったじゃ…」



勇次が扉を開けると、なぜか玄関でアイスを食べていたさくらを目撃して、

次の瞬間に扉を閉めた。



‐バタンッ!!!!‐



(龍巳)「どうした勇次?」



(勇次)「な、何でもない!! 何でもない!! なにも居ない!!!」



(龍巳)「はぁ?」



‐ドンドンドンドンッ!!!‐



(勇次)「げぇ!!?」



勇次の行動が気に食わなかったのか、獰猛なチビゴリラが扉向こうで暴れ始めるのだ。



(さくら)「何なのよ勇次!! オラ!! 聞いてるかこのボケナス!!!」


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