さくら木一本道
(勇次)「さくら大丈夫か!!?」
(さくら)「いったぁ~… あれ? 100円は?」
さくらは手に持っていた100円玉2枚(龍巳の100円&さくらの100円)を、転んだ拍子に落としてしまったようだ。
(さくら)「ちょっ!! 早く探して!!」
(勇次)「お、おう」
勇次はさくらに言われるがままに周りを探す。
(さくら)「あった!!」
(勇次)「こっちもあったぞ!!」
意外と100円玉は早く見つかり、さくらは勇次にその100円玉を渡した。
(さくら)「勇次見比べてみて!!」
(勇次)「あぁ……え!?」
100円玉を見比べて驚いた、
何故なら2つの100円玉は、「模様」「大きさ」「厚さ」「材質」どこにも違いが無く、全く同じだったからだ。
「大丈夫だと思うぞ?」
龍巳の言葉をふいに思い出した。
(勇次)「これは… 確かに大丈夫かもな…」
(さくら)「確かに大丈夫ね…」
当たり前だ、
この世界はさくらの世界と住んでいる人間が違うだけで、「物も」「自然も」全てが同じなパラレル世界(平行別世界)なのだ、
お金は「物」、同じなのは当然であり、そもそも同じでなければコンビニでアイスも買えるはずがない、
(勇次)「でも、もうこの金を使うのはダメだな… いずれにしろ犯罪だ…」
(さくら)「そ、そうね…そうするわ… じゃあ、私の100円返して」
(勇次)「おう…って、 どっちがお前の100円だ?」
(さくら)「は?」
言われた通り、100円を返したいのはやまやまなのだが、考えてみればどちらがさくらの100円か勇次は知らない、
それでもさくらは「何言ってんだコイツ?」みたいな顔をするので、バカでも分かるように説明してみた。
(勇次)「どっちがお前の100円なんだって聞いてんだよ、平成なん年製とか覚えてんだろ? ほら、「平成12年製」と「平成17年製」、どっちがお前の100円だ?」
(さくら)「は?」
会話が成立していない、と言うことは、
(勇次)「……お前まさか…」
(さくら)「テヘッ☆」
(勇次)「……」
さくらはとぼけて「テヘペロ☆」しているが、こんな場面でそんな顔をされても、腹立つだけで可愛くもない、
こんなとぼけた顔をしていると言うことは、どっちが自分の100円玉なのか覚えていないようだ、
勇次は額に手をあて、「はぁ…」とため息を吐いた。
(勇次)「……勿体ねぇ、せっかく龍巳がお前に100円おごってくれたのに…」
(さくら)「え?」