さくら木一本道

(勇次)「龍巳はお前に100円投げて帰っちまったんだぞ? それとも何だ? 後で龍巳に返しに行くのか?」



勇次の言う通りで、龍巳はおごるつもりでさくらに100円を投げて帰ったのだ。



(勇次)「その金があればアイスだってまた買えたのに… どうすんだよ」



(さくら)「どうにかしてくださいクソ野郎☆」



さくらの顔はまた「テヘペロ☆」になる。



(勇次)「それが人にものを頼む態度か!!」



(さくら)「じゃあ、ちゃんと頼んだらどうにかしてくれるの?」



(勇次)「そ、それは…」



確かに、頼まれたところで勇次にはどうすることも出来ない、



(さくら)「どうにもならないんじゃない、このタコ」



暴言を吐き捨て、さくらは勇次から200円を奪い取った。



(勇次)「ぐっ…」



心の中で腹立ちながらも、勇次は何も言い返すことが出来なかった。

そもそも、自分で撒いた種なのだから、自分で解決してもらいたいものである。



(さくら)「さて、アホ髪も帰ったことだし、私は銀拳の特訓しなきゃ」



(勇次)「あぁ… 好きにしてくれ…」



さくらは勇次にわき目も振らず、ドカドカと階段を登って行く、勇次はその背中を見て、聞こえないように小声で文句を言った。







(勇次)「……とんだ女だ… 可愛さの欠片もねぇ…」

(さくら)「何か言った?」



(勇次)「うおッ!!?」



階段の途中から振り返るさくらは、なかなかの地獄耳なようだ。



(勇次)「な、何も言ってないぞ!! 気にするな!!」



(さくら)「あっそう…ならいいわ、でも………フンッ!!!」



‐バッ!!!‐



(勇次)「え?」



さくらは階段から飛び降りた勢いのまま、勇次の頭に脳天チョップを決めた。

普通飛ぶだろうか、階段の中腹から、



‐バキィ!!!‐

(勇次)「おぶぅ!!?」



(さくら)「とりあえず殴っとくわ」



(勇次)「い、イッテぇ~…」



(さくら)「う~ん… やっぱり銀拳みたいにカッコ良く決まらないわね…」



(勇次)「……いや… 銀拳みたいにカッコ良く決まったら俺は死ぬ」



(さくら)「何で死んでないの? 天井まで飛んで倒れる位のリアクションとりなさいよ」



(勇次)「ムリ言ってんじゃねぇ!!」



(さくら)「チッ…おもしろくない」



(勇次)「お前な…」


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