さくら木一本道
(勇次)「そこら辺はやっぱ女の子なんだな…」
(さくら)「どう言う意味よ?」
(勇次)「いや、こっちの話だ気にするな」
(さくら)「何それ? 何かムカつくわ」
二人がそんな話をしている中、鏡子は勇次が持っている洋服の山から、次の服を取り出していた。
(鏡子)「さくらちゃん、次はコレで」
そして、鏡子は選んだ洋服をさくらに渡す。
(鏡子)「とにかく、色々試してみよ?」
(さくら)「う…うん」
その後、さくらと鏡子は色々な服を試した。
試着して気に入った服は残しておき、気に入らない服は元あった場所に戻す。
これを繰り返しているうちに、手元に残ったのは3着ほどの洋服だった。
(鏡子)「これくらいでいいかな?」
そう言って鏡子は、その残った3着の洋服を畳んでいく、
一方でさくらは、試着室で疲れきり、真っ白になっていた。
(勇次)「さ…さくら…大丈夫か…?」
勇次はさくらの心配をするが、その声は弱々しく、勇次も相当疲れているようだ。
二人がこんな状態のなかで、ケロリとした顔をしているのは、鏡子ただ一人だけだった。
(鏡子)「さくらちゃん、この服で大丈夫? 足りる?」
(さくら)「だ…大丈夫だよ…」
(鏡子)「じゃあレジに持って行きましょうか」
(さくら)「……でもキョンちゃん…いいの? こんなに服買ってもらって、その…お金とか…」
(鏡子)「気にしない気にしな~い、服を2~3着買うぐらいのお金は持ってるわよ」
(さくら)「でも…」
(鏡子)「困った時はお互い様よ」
鏡子は洋服をカートに入れながらさくらに微笑んだ。
さくらもつられて微笑み、そしてお礼を言った。
(さくら)「ありがとうキョンちゃん」
(鏡子)「お礼なんていいのよ~ 着せ替えゴッコみたいで面白かったし」
(さくら)「き…着せ替えゴッコって…」
(鏡子)「さー お会計お会計」
鏡子は「フン♪フン♪」と鼻歌を歌いながら、上機嫌でレジに向かって行った。
その背中を「微笑み」から「引き笑い」に変りつつ、そして見送りながらさくらは思った、
「彼女に疲れなど無いのか」と、
しばらく鏡子を見送ったあと、さくらは勇次の方へと顔を向けた。
(さくら)「ほら、私達も行くわよ勇次」
(勇次)「……おう…」