さくら木一本道
(さくら)「ブレーキかける事ぐらい出来るでしょ!!」
(勇次)「分かった分かった、今度からそうするから早く家入れよ」
(さくら)「…いつか覚えてなさいよ…」
必ずの復讐を胸に、さくらが玄関の扉を開けると―
(誠雪)「待っていたぞ二人とも!!」
誠雪が玄関で仁王立ちをしていた。
(勇次)「……」
(さくら)「……」
唖然とする勇次とさくら、
すると、誠雪はおもむろに状況を説明しだした。
(誠雪)「いやな? さっき天気予報をな見てたらな…」
‐テレビ‐
‐午後は貴方の瞳から溢れる雫のように… 美しく、切なく、優しく抱き締めてあげたい…そんな天気となるでしょう…‐
(誠雪)「―と、言うわけで午後は雨らしい」
(勇次)「何だその天気予報は!!」
すぐに勇次がツッコミを入れる。
(誠雪)「何だ勇次知らないのか? 「ムッシュ・ムラサの天気予報」」
(勇次)「知らねぇよ!! 何だ「ムッシュ・ムラサ」って!! アナウンサーがでしゃばった感丸出しじゃねぇか!!」
(誠雪)「いや、ムッシュの本業は「ホスト」だ」
(勇次)「ホストに天気予報やらせてんじゃねぇよ!!」
(誠雪)「あっ…勇次、お前それは差別だぞ、どんなムッシュだろうと職業だろうと自分に誇りをもってだな…」
(勇次)「もういいから!! ムッシュ・ムラサいいから!! 午後は雨だから何なんだ!?」
(誠雪)「今から田んぼに行くぞ」
(勇次)「……だそうださくら…」
(さくら)「ツナギ着てて正解ね」
(勇次)「だな…」
と言うわけで、午後に予定していた農作業は午前に変更となった。
誠雪はトラクターに乗って先に水田に向かい、勇次とさくらも長靴に履き替え、誠雪の後を追って水田へと向かう。