さくら木一本道
誠雪は地面に描いた長方形に2本線を描き、おおむね均等な三個のブロックが出来た。
例えるなら漢字の「目」の形だ。
(誠雪)「この3つのブロックの中にそれぞれ入ってもらって、自分のブロックだけをなるべく均等に撒くんだ。この方法なら広い田んぼを皆でバラバラに撒くより、均等に撒ける」
またもや解説を終えた誠雪は、手に軍手をはめて、田んぼを指差した。
そして大声で―
(誠雪)「さぁ、始めようか!!!」
誠雪の掛け声と同時に、さくらの初めての農作業が始まった。
まず最初に、誠雪が田んぼに足を踏み入れる。
次に勇次、そして最後にさくら、
田んぼは、去年の稲の根や土の固まりでゴツゴツしていて、これはこれで歩きづらい、
(誠雪)「みんな各々の場所に入ったか~!!」
誠雪が手を振りながら叫ぶ、さくらと勇次も担当のブロックに入ったと手を振って答える。
(誠雪)「よし!! それじゃあ作業開始!!」
誠雪の掛け声で、さくらと勇次は肥料を撒き始めた。
肥料を一掴みしては投げ、また一掴みしては投げと、単調な作業を繰り返す。
すると勇次の横で、またさくらの飽き性が出てきた。
(さくら)「……つまんない…」
(勇次)「はやっ!! もう飽きたのかよ!!」
さくらは大雑把に足元へ肥料を撒いていく。
(勇次)「おいおい… あからさまに適当に撒くなよ…」
(さくら)「…この単調な作業… 私の苦手とするものだわ」
(勇次)「だからって、そんなダルそうにしなくても…」
(さくら)「うるさいわね~… ガタガタ言ってる暇があったら仕事しなさいよ」
(勇次)「いや、お前が仕事しろよ…」
(さくら)「第一、アンタは小姑みたいにグチグチうるさ…―ハッ!!」
言葉途中でさくらは何か閃いたらしく、
おもむろに肥料をわし掴みし、そのままぶん投げた。
(さくら)「そうよ… わざわざ チマチマ動く事ないじゃない、これなら動かずとも端まで肥料を撒けるわ!!」