さくら木一本道


(勇次)「……大雑把にやってると兄貴に怒られるぞ…」



(さくら)「そう? 誠雪さんだって…」



さくらは誠雪の方向に指差した。

勇次はその方向へ目を向けると…



(誠雪)「ワハッ!! ワハハハハ!!」



さくら同様、肥料をわし掴みしてぶん投げていた。



(勇次)「……」



(さくら)「ほら見なさい、アンタだけの考えが正しいなんて事はないんだから」



そう言葉を吐き捨て、さくらも肥料をぶん投げていく。



(さくら)「フハハハハ!!」



(誠雪)「ワハハハハ!!」



(勇次)「……」



勇次はハイテンションな二人を横目に見つつ、ちまちまと肥料を撒いていった。



一時間後、肥料を撒き終えた三人は休憩に入った。



誠雪があらかじめ買ってあったジュースを、さくらは真っ先に手にとり、ゴクゴクと飲み干していく。



(さくら)「ゴクッゴクッ……」



買ってきたジュースは500ml缶のはずなのだが、みるみるうちに口の中へと吸い込まれていく、



(勇次)「スゲーなおい…」



(さくら)「プハァ……くうぅーきくぅ‼」



それは缶ビールを飲み干した後の、オッサンが言うセリフなのだが、

それに続けと、隣のドSも騒ぎ始めた。



(誠雪)「さくらちゃんイイネ‼ 清々しい飲みっぷりだ‼」



誠雪も缶コーヒーを勢いよく開け、一気に飲み干していく、

そして嗚咽する。



(誠雪)「おぇ……うん、コーヒーは一気に飲み干す物じゃないね。」



(勇次)「あんたはバカか!?」



(誠雪)「えぇ、バカですけど?」



兄弟二人の会話を見て何が面白かったのか、さくらがゲラゲラと笑いだした。



(勇次)「お前も笑うな‼」



勇次は急に恥ずかしくなり、さくらを怒鳴るが、

しかし、さくらの笑いは止まらない。

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