嬢

父上

「なんなの！？あんたっ！！こんなんじゃ…っ」
ゆえるさんは唇をかんで視線を下にした。
「もうっ…いいっ！！あたしの負け！！常連もあげるからっ！！」
「あの…勝負できて楽しかったです。なので常連はいりません。」
「はっ！？あんた何いってんの！？」
これはホントに思ったことだった。
ゆえるさんの常連のヘルプに入ったときに思った。
私はいつも客との間に一線を置いて営業していた。
だけどゆえるさんは本心で話しているように見えた。
客に色目を使わず声も変えない。
ここに来るお客様を癒すようなそんな感じだった。
だから私はゆえるさんを目当てにしてる客からゆえるさんを取り上げたくなかった。
綺麗事に聞こえるけどこれが私の本心だから。
「お客様は自分の手で勝ち取ります。」
「生意気。でも私のライバルに認めてあげる。」
「わぁ。上からですかぁ？」
「もーっ！そういうところが生意気！！」
「ぷっははっ。」
このお店に来てから初めてこんなに笑ったような気がした。
「新規の東上様ご来店！アゲハさん指名！」