狂暴わんこのひとり占め。
駅から さほど遠くないショッピングモールは、休日だからか人で賑わっていた。
「うわ、私 人多いの嫌い…」
「そうなの?」
「酔う」
嫌な顔をしてると、隣で灯夜はくすくすと笑っている。
何がおかしいんだか。
「とりあえず…服見ようかな。灯夜も来る?」
「選んでやるよ」
なんでちょっと上から目線なのかは突っ込まないでおこう。
それより、さっきから女の子からの視線が痛い。
まぁその視線は私に向かってるものでは無いけど。
当の本人は呑気に鼻歌まじりで歩いている。
自分がこれだけ目立っていることに気付いているのだろうか…。
「早くお店 入りましょ」
「なんで そんなカリカリしてんの」
「いつもこんな感じでしょ。
ほら選んでくれるんじゃないの?」
「ツンデレだね(笑)」
「うっさい!」
相変わらず、コイツは私のペースを乱す。
女の子の視線はどこに行っても消えることは無く、そのまま店へと足を踏み入れた。