狂暴わんこのひとり占め。
灯夜はチャラ男と私を遮るように、私の前に立った。
「ごめんね〜?“連れ”って僕のことなんだぁ。まだ買い物したいから、お兄さん達 見逃してくれないかな?」
こいつ…。
途中まで聞いてたな。
そんでもってキャラが違う。
「おねーさん可愛らしい弟連れてんね?」
「ま、俺らはお前みたいなガキは相手にしてらんないの。どっか行ってろ」
灯夜、思いっきり弟扱いじゃん…。
まぁ童顔でこのキャラじゃね。
てゆうかこの人達もさっさと見逃してよ…。
「ん?何これ〜?」
「あ!ちょ…!」
ピアスが私が持ってたブレスレットをひょいっと取った。
仮にも灯夜の方のブレスレット。
「もしかしてこれ、おそろい?仲良い姉弟だねー?」
馬鹿にしたように言う。
違うっつの!
「僕ら姉弟じゃないよ?おにーさん」
「?」
にこっと灯夜が一瞬笑った。
と、ほぼ同時に
「調子乗ってんじゃねぇよ」
「は?」
――――ゴチンッ!!!
「ふがっ!!」
「灯夜!?」
ピアスが食らったのは、灯夜の見事な頭突き。
その反動で、取られたブレスレットがピアスの手から落ちた。
灯夜はそれを拾う。
「紗希は俺のご主人様。でもって俺は紗希の番犬。おっけー?」
灯夜は痛くないのか…。
ピアスは見事にヒットしたらしく、頭を抑えてうなりながらしゃがみこんだ。
ぽかん、と見ていた帽子ははっと気づいて駆け寄った。
「お、おい!大丈夫か!?
なにすんだよガキが!!」
ギロッと灯夜を睨み付けた。
私はおろおろとやり取りを見ているしかできない。