狂暴わんこのひとり占め。





こんなやつにドキドキしたり期待したり…なんて

馬鹿らしい。


するだけ無駄だ。



“いつかはいなくなる”


この言葉が浮かんだと同時に、私の胸にはモヤモヤが広がった。


私は、馬鹿だ。




「…俺がここを出ない理由があるとしたら、何だと思う?」



灯夜は私を壁に追い込んだまま、聞く。



「そんなもの、あるの」



「無いことは無いでしょ。 理由とか口実なんてものは いくらでもつくれる」



「じゃあ、例えば?」



「例えば……」




灯夜の顔が近付く。


息がそっとかかるくらいまで。



――キスされる。




奴は、イタズラな笑みを浮かべて。




「……例えば、

俺がご主人様に恋しちゃった

…とか」



「………」



――え?



意味を聞き返す前に、既に私の唇は塞がれていた。





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