狂暴わんこのひとり占め。




「それ、どうとったらいい? 紗希は俺のこと好きでしょ?」


「なんでそうなる!」


「嫌いだったら赤くなんないじゃん」


「すごく自分本意ね」


「仮に今 紗希が俺のこと好きじゃなくても落とせる自信あるよ?」


「どっから来るのその自信」



なんだか、いつもの調子に戻ってきた気がする…けど、灯夜はまだ手を離してくれず。


目は逸らさないまま。



「じゃあ…灯夜は私のこと好きなの?」


「―……っ! ちょ……」


「?」



灯夜が手の甲で口元を隠した。

心なしか頬が少し赤い。



「…バカ…、いきなり上目遣いは反則でしょ…」


そっぽを向いて、呟く。

よく聞き取れなかった。


「灯夜?」


「なんでもない…。」




…どうしてだろう。



愛しく感じるの。


なんだか灯夜が、外見どおり幼く見えて。



「…灯夜……――」



そっと、栗色をしたふわふわの髪の毛に手をのばしかけた。





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