狂暴わんこのひとり占め。
だけど、またこちらに向き直す彼に、自然と手は引っ込む。
灯夜は口元を隠したまま、言いづらそうに口を開いた。
「……紗希、俺さ……――」
―――【ピンポーン】
「「!!」」
ビクッッ!!
二人同時に肩が上がった。
また、客人みたいだ。
「……っとに誰だよ!!!」
何か言いかけたものの、再び邪魔された灯夜。
半ば叫び気味。
私としては内心少しホッとしたけれど…。
っていうか。
「また…誰かな? さすがにもう愛美じゃないわよね」
「知るか!! 誰だか知んねーけど一発入れて……」
ガチャッ…
「――――紗希っっ!!」
灯夜より先にドアを開けた客人によって、その声はかき消された。