狂暴わんこのひとり占め。
▽本物です。
「……え」
再び訪れた客人は、懐かしい顔だった。
「は? 誰」
灯夜は少し睨みをきかす。
警戒心の強い犬みたい…
ってそんなことはよくて。
「真樹(マサキ)…」
「紗希、そいつ、誰?」
真希も、私に問いながら灯夜に睨みをきかす。
「誰ってこっちの台詞だっつーの。 あんたこそ、いきなり来といて誰?」
「僕は 真樹(マサキ)。 紗希のイトコだけど?」
「イトコぉ?」
「そ。 で、君は?」
きっと灯夜は、なぜいとこが突然やってきたのか 不思議に思ってるんだろう。
…まあ、こういう人なんだよ。灯夜。
「俺は灯夜。 俺とサキとの関係、気になる?」
「ちょ…灯夜」
なんもないから!!
ていうか真樹にそんな発言は…あんまり…
「紗希の部屋にいること自体、怪しまない人はいないよね。 二人とも、寝起きでしょ?」
無駄に鋭い。
昔からこの人はよく頭が回る。
「…イケナイこと、やってたかもね?」
「紗希? こいつの言ってること、本当?」
だから!そういう発言はだめだって!
「してないから!! 灯夜はただの居候。 怪しい関係はなんにもありません。
…で、真樹は何か用事?」
ああ、面倒くさい。
この人たちをかち合わせるなんて、最悪な日だ、今日は。