狂暴わんこのひとり占め。
「アイス、おいしーよサキっ♪」
「そか。よかったね。
てか、呼び捨て…」
「え…ダメ……?」
しゅん。
ぐさっ。
「あ、いい、いいよ!
呼び捨てで全然」
「ありがとぉ、サキ♪」
うう…負けてしまった。
早速 家に帰ると、灯夜はアイスに食いついた。
その姿を見て、つい微笑んでしまう私は母性本能が強かったりするのかしら。
「ねぇ、灯夜。あなたどうして こんな夜中に公園なんかにいたの?」
一日、うちに泊めるんだから これくらい訊いてもいいよね?
「………」
だけど灯夜は、アイスを食べる手を止め、視線を落としてしまった。
なんかまずかったかな…。
「あの……と、灯夜?」
「………サキ」
「…? ――ぎゃっ」
ちょ、奇声を発してしまった。
いやいや、奇声 発してもおかしくない。
なんたって 今の状態は…
「…サキ、そんなの愚問だよ?」
「な…灯夜!?」
「サキは優しいよね」
「は?」
何が言いたいのか分からない。
私の両手首は 見事に捕らえられている。
アイスそっちのけで近付いてきた、怪しい笑みを浮かべる灯夜に。
「だから。サキみたいな子を待ち伏せしてたわけ」
「……うん?」
「はあ、わかってないよね。
つまりね……
いただきます♪ってコト。OK?」
「…………」
にぃぃっと笑った灯夜に、
にこぉっと返すしか無くなった私。
「…まじ?」
私もしかして…
超、危険事態?