すずのうた(仮)
しばらくボーっと聞いていた私は
演奏が終わったことにも気付かず
ただ立ち尽くしていた。
「お―い、大丈夫かぁ?」
そう言って私を覗き込んだギターの男の人は
くせっ毛でくしゃくしゃの茶色髪で
背は少し高く、細身の体にスキニーが良く似合っている。
ピックを持つ指は長くきれいで
やわらかい音を奏でる人だった。
「聴いてくれてありがとうね。私たちの演奏どうだった?」
そう優しく微笑んでくれたボーカルの女の人は
肌が透き通るように白く
栗色の髪はふわふわと肩に流れて
Tシャツとジーンズというラフな格好に関わらず
天使のような美しさを漂わせていた。