『想い方』
いきなり智也が立ち上がり、棚の引き出しから返済のカードを取り出し、各会社の明細書を机の上に並べた。
不安そうな顔で口をひらいた。
「俺は就職してちゃんと働いてる。固定給の給料から、公共料金や家賃、食ってく金を引いたら返済出来る金は少ないよな?」
由香も私も黙って聞いていた。
「由香とアズは昼間の仕事と居酒屋で働いてるんだよな?」
私はゆっくり頷いた。
「じゃあ、なんでこんなに減ってんだよ!!昼間と居酒屋掛け持ったって、短時間でこんなに返せるわけねぇーだろ!!」
智也の声が響く。
黙るしか出来なかった。
「なぁ?なんでこんなに返せてるんだ?なんで残り250万なんだ?」
由香がココアを一口飲む。
智也が煙草に火を着けた。
智也は不安そうな顔のまま。
今度は落ち着いた声で
「頼むから話してくれよ。俺等の中で隠し事は辞めようよ。」