『想い方』
「…アズさん?智也の母です。」
由香から電話が来るなんてありえないのに。
私は少し期待してしまった。
『ナンデスカ?』
ぶっきらぼうに答える。
「ごめんなさいね。家の電話からかけても出てもらえなかったから…。由香さんの携帯を借りたの。」
『何ですか?用件は?』
早く切りたかった。
人と話すだけでダルかった。
「ニュースは見た?」
『い―え。』
「相手は飲酒運転だったのよ。あの―…白の四駆の運転手。反対車線に飛び出して、避ける為すぐに左にハンドルをきったらしいんだけど………」
あ―…だから智也の車、右側だけぐしゃぐしゃだったんだ。
って言うか、あんな昼間から飲酒運転??
ふざけてる。
「47歳の男の人で…すり傷程度なんですって。」
『はぁ?すり傷?47歳?』
いい大人じゃん。
っつ―かあんたも死ねよ。
智也と由香は何もしてないのに。
危険運転してたのはあんたなのに。
なんで生きてんの?
ムカついた。
殺してやろうかとも想った。