『想い方』
由香と智也が同棲しているアパートに着いた。
ピンポーン…
反応がない。
ピンポーン
ピンポーン
ピンポーン
『由香っ!智也っ!』
ドンドンッ
ドンドンッ
玄関のドアを叩いた。
『由香―!!智也っ!!』
分かってるんだよ。
由香と智也はもういないって事は。
分かってるんだけど…。
『由香っ智也っ……』
また笑顔で迎えてくれるんじゃないかって。
また笑顔で
どうぞ―
って迎えてくれるんじゃないかって。
ピンポーン…
ドンドン…
『由香ぁ…智也ぁ…』
また笑顔で
ご飯食べてく?
って言ってくれるんじゃないかって。
何度も何度も由香と智也の名前を呼び続けた。
どうしても現実にしたくなかったんだ。
三人で過ごした楽しかった日がもう来ないなんて…。
受け止めたくなかったんだよ