『想い方』
振り返ると、そこには沙織さんがいた。

『あ!なんかお久しぶりですねぇ。』

「そうだね!ねぇ今日アズのクラスでなんかあった?」

『え?なんでですか?』

「噂だよ!喧嘩が凄かったとか聞いたけど、それはアズ?」

『はい…、3年生まで広まってるんですね。』

「うん。大丈夫?」

『はい、大丈夫です。あ…沙織さん!遅くなったんですが、これこの前のカラオケのおつりです。』

「あ~、いいよ。あげる。」

『え!?貰えません!』

「いいんだよ。金ならあるし。」



一万七千円なんて大金を貰うわけにはいかない…

沙織さんは私の耳元で小さく呟いた。


「私、援交してるから余裕♪」

『え?…』


信じられなかった。


「内緒だよ~」


そんな事、こんな軽く言うものじゃない。


『なんでですか!?』

「簡単に金が手に入るからだよ~買いたい大人がいるから売る女も出てくるの。」


買いたい大人……


腐ってる。
世の中腐ってる。


そう思った。


< 49 / 286 >

この作品をシェア

pagetop