『想い方』



見知らぬ男の上に乗る母と、目が合った。



その母は私の知らない母だった。



暗かったけど、カーテンの間から覗く月明かりが2人を照らしてた。



私に気づいていない、見知らぬ男は、まだ下から母を突き上げている。



乱れる髪


肌と肌が重なる音


2人の混じり合う吐息


私の目を見る

母の眼は


私の[母]ではなく


[女]だった。



私は静かに部屋のドアを閉めた。



この時から私と[女]は

背を向けて歩き始めた。



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