金木犀〜恋の香り〜
第1章:出逢い
「はぁ?またかよ…」
「ごめんなさい…」
ピピピピピ…
またあの夢か。
ときどき見るあの時の夢。
今でもあいつは、俺を悩ませる。
俺はまだ、あいつの事忘れてないのか…?
矢野大輔(17)
3年前、確かに俺は恋をしていた。
泣いたり怒ったり、
忙しい奴で俺が守ってやらないと…って思ってた。
だから守ってやってた。
時々見せてくれる笑顔を、とにかく見たくて。
喧嘩して何回も離れそうになったけど
やっぱり大輔がいい。そう言ってあいつは俺のところに戻ってきた。
だけど俺、勘違いしてた。
好きだったのは、俺だけだったんだ…。
俺を散々振り回して、最後には
ごめんなさい。ただ一言であいつはいなくなった。
あれから3年…まだ夢に出てくるんだ。
俺を救って
俺を愛して
心がそう叫んでるようだった