金木犀〜恋の香り〜

「大輔」

小さな声で、俺を呼ぶ由嘉の声。


「由嘉っ…もう目覚めたのか?」


「最初から寝てないよ…」

やっぱり…


「……嘘ついたんだろ、分かってる。俺はどこにも行かないよ。」



「いいよ、行っても」


「え…?」


まっすぐ俺を見て、由嘉は言った。
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