金木犀〜恋の香り〜
第4章:過去
「大輔…」
コイツをギュッてする感覚…。
久しぶりだった。
香水の香りがきつくて…でも落ち着く香りだった。
気がつけば俺は…
あの頃の俺に戻って、由嘉を抱きしめていた。
「私には…大輔しかいないの…大輔すき」
その言葉には何も触れなかった。
何やってんだ…俺…。
馬鹿じゃん…。
ようやく…本気になれそうな人をみつけたのに。
頭より気持ちが先に動いた。
俺は…、誰を想い、誰を求めてる?