金木犀〜恋の香り〜
「痛い…?これぐらいやられて当然だろ?」
「………」
俺は何も言えなかった…。
周りの奴らが、何、何?とヒソヒソ話しながら俺達を見る。
「昨日、見たんだ。南ちゃんと。お前が由嘉と…俺、お前が情けなくてさ。お前の顔見れなかったよ…なのに南ちゃんは真っすぐ見て、大輔が選んだ道だからって笑って…帰って行ったよ…。お前……どうすんだよ…!」
南…見てたのか…。
失望しただろうな…
南は過去と向き合えたのに…
俺は…
「アイツ、俺じゃないとダメだって…俺がいないと…」
「当たり前、そう言うだろうな!前にもおんなじ事言われたろ!?まだそんな言葉、鵜呑みにすんのかよ!」
涙が流れた。
情けないな…俺…。
「ごめんな…瞬平…」
謝る事しかできない。