金木犀〜恋の香り〜
「南…?確かあのカフェでも南って…。この子が南なの…?ねぇ誰なの?」
由嘉は、疑問と疑いの目で俺を見てる。
「また、会っちゃったね……ごめんね。じゃあね」
「あ…ちょっと…」
一度も振り返らない南の背中を、俺はずっと見つめていた。
「ねぇ大輔っ?!あの子、ファミレスにいた子だよね…?どんな関係なの…?」
「ごめん。言えない」
由嘉に…南の事を教えたくなかった。
ずるいよ!そう言われるのはわかってる。
でも…俺の中で南は、誰にも知られたくない…大切な存在だから。
だから……
言えなかった。
「もういいよ!!大輔なんて知らないっ…!」
由嘉は怒って店を出ていってしまった…