金木犀〜恋の香り〜
「あ…ちょっと待って」
南はどこかへ走っていってしまった。
数分後。
「お待たせ…!」
そう言って差し出されたのは、オレンジジュース。
「えっ?ありがとう…」
「あんまいいのなくてさ、迷っちゃった!紅茶とかあったんだよ〜?あたし苦手だからさ〜、大輔君も苦手だったよね。
……ってごめん、ペラペラ喋りすぎだね…」
南なりに、雰囲気を変えてくれようとしたんだろうな。
「そんなことないよ、ありがとな」
俺は、南から貰ったオレンジジュースを一口飲んだ。