歪な-さんかく
「先輩って腹黒いですね…」

「え、俺?まぁ、相当腹黒いと思うけど?」


何か?と付け足してまたあの余裕たっぷりの顔で笑う。

さらに勘に触った。



多分、先輩は俺の気持ちを知ってるんだ。なのに見せ付ける様に鈴とあんな風な接っしたんだ。


完全に面白がってる…


「先輩って何考えてるか全然分かんないですね」

「じゃなきゃ、エースストライカーなんてなれねぇって!考え読まれてちゃフェイントばれちゃってボール捕られまくりってね!」


サッカーの話しをしながら、違う話しをしてる。


さしずめ、鈴がサッカーボールってか


リフティングするみたいにこの人は女の子を思い通りに操ってきたのだろう…



「なぁ鈴って可愛いと思わないか?」

「………、」

「なんか守ってやりたくなるんだよねぇ!エンもそう思うだろ?」


ニヤニヤ顔がムカつく、
全てを知ってる顔して意地の悪い事を言ってるとした思えないその綺麗な顔を殴りたい衝動にかられるが、ソレをグッっと胸の奥に押し込んだ。



「肌とか白くてさ、唇とかピンクで柔らかそうだし、綺麗な目だし、細身の割りについてるとこはちゃんと…」

「先輩っ!止めてくださいっ!!」

「あはは、やっと素直になったな、エン。気になるんだろ鈴の事」



この人はいったいどうしたいのだろうか?

人をからかって楽しんでいるだけなのだろうか?

それとも、何か別の目的があるのだろうか?



言葉が出てこない。



この綺麗な目は何を写して、何を考えているのだろうか?



「そんな目で、そんなエロい目線でいつも鈴を見てるんですかっ」

「まぁ、俺も健全な男子だしねぇ、鈴って時々無防備じゃない?いつもってわけじゃないよ」


そう言って笑う。



それでも、それでもなんだか嫌だった。


その余裕面がムカつく!

何も言いたくなかった。



それから沈黙を決め込んだ。


学校の裏手にある職員用の駐車場で御堂先輩は先生に話しかけられてそのまま行ってしまった。
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