歪な-さんかく
バ―カ、エンのバ―カ



呼び出されたあたし達の前に数人の教師が並んでいて、事の説明をさせられた。

それで今、剣道部の言い訳を聞いてるワケなのだが、


バ―カ、バカエン…


目が合う度にあたしはエンに口パクで同じ事を言っている。


せっかく、事を大きくしないようにしたのに、何も自ら火をくべなくてもいいではないかと思う。

エンに聞こえる位の声で囁いてやれば



「なんでだよ!」

「別に?」

「コラ、そこの二人!話しを聞け!」



ほら、怒られた…



教師の手には半壊してウンともスンとも言わなくなった防犯ベル。

今朝、あたしが鳴らしたモノだ。



ん?待てよ…
あたしがアレを鳴らさなければ良かったのか?

ぁ、でもな…
アレを鳴らさなければ、隙も出来なかったしなぁ、逃げれなくなったよなぁ

そしたら…エンは絶対に問題になってたし

ってか…ドッチにしても問題になってんだけど…



剣道部の弁解(言い訳に近い)なんて聞き流しながら、あーでもないこーでもないと過ぎた事を考えていた。言い訳なんか聞きたくもないし。



「ウソついてんじゃねぇよっ!」


エンの言葉に現実に引き戻されてハッとする。


改めて今、並べられている生徒を見ると、



「あっ!」

「何だ?宝生」

「えっ、なんでも…」


思わず出た大声に自分が一番驚いたかもしれない。


なんで、赤髪ピアスがいるのよ!ってか、アイツは剣道部だったんだ。



四人いる剣道部の中に中庭であたしに告ってきた赤髪ピアスの二年生がいた。

直ぐに気付かなかったのは、今は黒髪だから。



って事は、赤髪ピアスはあたしが好きなんじゃなくって、あたしと付き合う事で部費をあげさせようとしてたって事?

まぁ、そんな事しないけど。



「…だよな、鈴?」

「へ?」


いきなりの振りについていけなくてキョトンとしてしまう。




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