歪な-さんかく
まぁ君が優しいから、いっつもいっつも私に優しいから私は勘違いしていた。


まぁ君は私が好き。
なんじゃないかって…

私達は両思いなんだって、疑わなかった。



なのに、



「確かに藍とは仲いいよ?可愛いとも思うけど…」


まぁ君が呟いたのを壁一枚隔てて聞いた。



「藍は好きだけど、俺は鈴が好き…だから…」


―――え?

鈴も…じゃなくて
『鈴が』?



言葉を噛み砕いて理解するまで数秒、時間がたっぷりかかって、 気が付けばゴミ箱をそのままに走り出していた。


膨らみ出した小さな胸がズキズキ痛くて、痛くて痛くて涙が出てくる。


鈴は可愛い、でも私より可愛いくはない。

髪だって短くて、暴れん坊だし、男の子みたいだし、

だけど、
男の子達に人気があって、女の子にも人気があって、


だから…気付いてた。


まぁ君の気持ち。

まぁ君が私より鈴を見ている事も…


知ってて知らないフリしてただけなの。



この日に芽生えた気持ち。
私は鈴より劣ってる―『劣位』にいるんだって。


その『劣位』を覆す方法を探さなきゃ…



誰かに、『鈴に』まぁ君を盗られちゃう。


急がなきゃ、
急がなきゃなんない…
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