甦り~いつも共に~

珍客

それは、突然やって来た。

ある初夏の宵の口。

バーニング・レッドの残り火が、街をかすかに灯している。

日中熱せられた空気は、爽やかな風となって通りを駆ける。

その内の一部が、まるで群れから離れたかのように、写楽のタペストリーを、ふわっと揺らす。

難しい顔をした三代目も、何やら涼しげだ。

そして、半開きの玄関をするりと抜けて、デコップ教室を2・3周する。

かと思えば、急ぎばやに出て行った。

まるで、群れに戻って行くかのように。


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