この涙が枯れるまで
あみと久しぶりに会った。
何を話せばいいのだろう。
『あみ…久しぶりだな、バイトもお前全然入ってなかったじゃん』
僕はタイムカードを押し、
あみの方を見た。
『んーそうだね、ちょっといろいろあってさ~』
『いろいろって?』
『彼氏出来たんだ~』
『まじで?』
『うん!でも優よりはかっこよくないんだけどね』
『何だそれ。幸せになれよ』
『うん、ありがとう。』
僕は着替えに行くため、その場を後にした。
あみは、いつの間にか彼氏が出来ていた。
何かそれが妙に寂しいんだ。
あみの事は好きだけど、僕は百合の事が好きだった。
だからあみを振ったんだ。
でもあみに彼氏が出来たら寂しくなる。
僕は都合のいい男だな。
百合も同じ事だ。
百合に別れを告げたのに、僕はまだ百合が好きなんだ。
百合が安里と付き合ってるのにも関わらず、僕は安里にヤキモチをやく。
僕は本当に都合が良すぎる。
最低な人間なんだ。
夜の10時。
バイトが終わった。
疲れたと思いながら、道を歩く。
道路を挟んだ反対側道に、見た事のある人が歩いていた。
ナナだった。
ナナはこんな時間に何をしているのだろう?
女の子が一人で。
ナナの顔を見てみた。
外灯で何かが光る。
それは、涙だったんだ。