この涙が枯れるまで
僕は教室から出ていったナナを追い掛けた。
『おっ優~?』
『歩おはよ!!ちょっと行ってくる』
『どこにだよ?』
『ナナのとこ』
『広瀬?』
100メートルほどある長い廊下を、
懸命に走る。
人をどんどん抜かしながら、
僕は探した。
ナナを。
ナナはどこにいる?
いない。
いない。
どこにもいない。
僕は屋上へ行った。
そこには下を向いて座っているナナがいた。
『ナナ……』
『来てくれたの?』
『ごめん…』
『いいよ~、私も辛いんだ』
『ナナ…何があったの?』
『今は言えないかな』
『…話たくなったら言えよ?』
『優は…優しいよね』
『全然。俺百合にひどいことしたから』
『ひどいことしたって思ってるから優しいんだよ』
『……そうか?』
『優には頼らない!!優が大変だから』
『何で?頼ってよ』
『優は自分の事でいっぱいでしょ?』
『………』
『優、無理しちゃだめだよ』
─…キーンコーンカーンコーン
授業が始まる音。
僕はまだナナと話したかった。
『授業はじまっちゃったね』
ナナが立ち上がろうとした。
『もう少しいろよ、てか居て欲しい』
『……はい』
僕達は授業が終わるまで話し続けた。
ナナと話していると落ち着くんだ。
こんな気持ちは百合以来。
僕は前に進んでいる。
確実に。
一歩
一歩。
そして百合の事を忘れていく。
ひとつ
ひとつ。