この涙が枯れるまで
『優~今からヒマ?』
『お~バイトないしヒマ~』
『今日沙紀が部活だから一緒に帰ろうぜ』
『いいよ』
歩と帰るのは久しぶりだった。
『優、どっか行こ?はらへった』
『お~』
僕達はファーストフード店へ向かった。
そして適当に買って、テーブル席へと座る。
『優はさ…広瀬が好きなの?』
僕は飲んでいたジュースが逆流しそうになって、おもいっきりむせた。
『ゴホッ何だよ…いきなり』
『気になったから~好きなの?』
『…わかんねぇ。ナナはほっとけない。今思えば、もう俺、百合の事忘れてきてるんだ』
『そっか…あっそういえば、安里と小林別れたらしい』
ドクン…
『えっ?』
『つい最近だってさ』
『そうなんだ』
『これ聞いてどう思った?』
『…別に』
『ふぅん。つか~沙紀が言ってたけど、広瀬って何か壁みたいのあるよな』
『壁?』
『お~ だってダチ作らねぇじゃん?』
そういえばそうだ。
ナナは休み時間いつも本を読んでいる。
沙紀以外の女子と喋っているところなんて見たことなかった。
『何か近寄りにくいよな』
『そう…か?いい子だよ…』
『優はナナの事になると嬉しそうにするよな』
歩には勝てない。
歩は僕の全てを見抜いているように思う。
でも歩がいなかったら立ち直れなかった。
そんな気がするよ。