この涙が枯れるまで
ナナ…君は可愛くてずるかった。
『…ナナ…』
『えへへ』
僕はナナの方に向かった。
そして再び僕はナナを抱き締めた。
『優?私も優が好きだよ?』
『うん…うん…大切にするから…ナナを守るから』
『…ありがとう』
僕はこの約束を守れたかな…僕は海に向かって『ナナー!!!!大好き!!!!』と叫んだ。
今思えば恥ずかしい行為。
でもそれを聞いたナナは、笑ってくれた。
ナナは僕の手を握った。そんなナナが愛しくて…愛しくて…たまらない。
僕は顔をナナの方に近付けた。
『ナナ…怖い?』
『えっ?…大丈夫』
ナナは目を閉じた。
ナナは不安に違いない。だって、すごく必死だったから。
僕はナナの頬に軽くキスをする。
ナナは何で?という顔をして、僕をみた。
『大丈夫! 俺、ナナが安心するまで我慢するから!』
『ふぅ~ん。我慢出来るの?』
ナナは、意地悪口調で僕に言った。
『でもなるべく早くね?冷えてきたね…そろそろ戻ろうか?』
『うん』
砂浜には僕達の足跡しかなくて、空には不気味な紅い月があって、僕達二人は、それにも気付かず、手を繋ぎ、歩いて行った。