この涙が枯れるまで


―チャプン…

湯気が広がる。
僕はお風呂に入りながら、いろいろと考えた。
これから、ナナと付き合っていく。
どうしたらいいだろう。ナナを傷つけないように、付き合っていかなければならない。
ナナは苦い過去があるから。
ナナの過去を僕が全て受け止める。
全て抱きかかえる。
そう決めた。




『優?早くしろー』



『悪ぃ!!今出る!!』



僕はナナと共に歩いていく。
一歩ずつ。ゆっくりと。
でも、楽に行ける訳ないんだ。
いくつかの壁がある。

僕はその壁に当たってばっかりなんだ。



―7時…


僕と歩は朝食会場へと行った。
もうナナと沙紀はいた。僕達は二人のいるところに行った。



『再びおっは!』



『ナナ、沙紀おはよ』


『歩、鈴木君おはよ!!』



『優おはよう!!昨日はありがとね』


こうナナが言う。
僕の鼓動は忙しそうに鳴る。


『いいって!!!ナナ、もう飯食った?』


『私食べる気しないんだ~…』




『何で?ちゃんと食えって』



『…だってぇ…』


『だってじゃない!!!ほら食え!!!』



『優お母さんみたい~!!』

とナナが笑っていった。



ナナの笑顔を見るとホッとするんだ。



この時僕は見えた。


ナナの顔が誰かと被る。
そう、百合と。
僕にはまだ百合が残っていた。
百合の残像が。




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